水利科学
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海岸林シリーズ
海岸防災林造成におけるコンテナ苗の優位性について
村川 晋新田 響平
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2019 年 63 巻 3 号 p. 124-147

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抄録

コンテナ苗は,容器の底面を開けるなどによって根巻きを防止できる容器で育成した苗木で根鉢が容器に沿った形状をしており,平成20年代に入り全国で急激に普及してきた。 コンテナ苗は山地におけるスギの植栽事例が多く,植栽時期を選ばない,植栽コストが低減されるといった効果が期待できるとされているものの,海岸林造成に用いられるクロマツにおいて,コンテナ苗が採用された事例は少なく,海岸砂地という環境条件下でその効果がどの程度発揮されるかは不明である。 そこで,冬季風浪の厳しい北東北の日本海側の海岸防災林造成においても,コンテナ苗に優位性があるのか,そして,海岸防災林に求められる新たな機能である津波の被害軽減効果など様々な視点から検証した。 その結果,コンテナ苗は裸苗に比較して「活着率」,「コスト縮減」,「下刈り削減」,「適応性」,「粘り(根張り)強さ」の点で優位性が高いと考えられた。

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© 2019 一般社団法人 日本治山治水協会
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