水利科学
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一般論文
小浜湾における沿岸透明度目標設定に関する一考察
松井 明
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2019 年 63 巻 3 号 p. 38-50

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抄録

国民の実感にあった分かりやすい指標で望ましい湾内の状態を表すことにより,良好な水環境の実現に向けた施策を効果的に実施するため,底層溶存酸素量(以下,底層DO)および沿岸透明度に着目したモデル事業が小浜湾で行われた。 著者は,2011年4月から2012年5月まで,小浜湾および流入河川の北川において,水中の水素イオン濃度(pH),溶存酸素量(DO),塩分濃度,水温および透視度を計測した。調査は1週間に1回の頻度で実施した。そのデータを基に,今回新たな指標となる底層DOおよび沿岸透明度について考察した。底層DOに関しては,溶存酸素量は1年間を通して季節変化したため,基準値を設定する場合は1 年間の平均値とするのか,最低値とするのかを決めなければならない。あるいは,季節ごとに基準値を設定するのも一案である。 沿岸透明度に関しては,水域ごとに,地域の意見を踏まえて設定されることになるため地域力が問われることになる。市民参加の動機付けとして,「見える化」が有効である。市民が中心となって調査を継続するためには,調査地点へのアクセスが容易で安全なこと,調査方法が簡便なことが望まれる。 湾内の状態を表す指標として,底層DOおよび沿岸透明度だけでなく,水温を測定することを提案した。

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© 2019 一般社団法人 日本治山治水協会
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