水利科学
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翻訳論文
土壌喪失をともなう森林攪乱が降雨流出応答に及ぼす影響に関する地質ごとの流出機構に基づく評価
谷 誠藤本 将光勝山 正則小島 永裕細田 育広小杉 賢一朗小杉 緑子中村 正
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2021 年 64 巻 6 号 p. 105-148

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抄録

今後の森林管理を考えるためには,土壌喪失をともなう人間による強い森林攪乱が降雨流出応答に及ぼす影響を理解することが重要である。しかしこの問題に取り組むことは,伐採の影響を水文学的に評価することに比べ,解析方法においてより困難な面がある。そこで本研究では,異なる土壌・地質条件を持つ日本の数カ所の小流域を,HYCYMODEL という流出モデルを用いてそれらの流出特性を解析することによって相互に比較した。また,人間による攪乱影響の範囲が地質ごとに特定できるように,比較結果に対して流出機構に基づいた検討を加えた。その結果,花崗岩山地においては,はげ山は高い洪水流出量のピークをもたらし,最も強い人間攪乱の結果を示したが,風化基岩内の貯留量変動によって大きな基底流出量が維持されるという傾向もあった。一方,堆積岩山地においては,褐色森林土壌を欠いた粘土質土壌を持つ森林が最大の攪乱の結果を示すと考えられた。その流域では,洪水流出総量が大きく,基底流出量が低いという,変動の激しい流出特性がみられた。また,その洪水流出総量は,それに先立つ無降雨時の乾燥状態によって大きく変化する傾向も見いだされた。

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© 2021 一般社団法人 日本治山治水協会
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