2004 年 70 巻 3 号 p. 288-296
那珂川の両側回遊型アユについて, 河口付近における冬の積算海水温, 栃木県における遡上初認日・遡上観察群数・秋の平均体重の4要因の関係を解析した。その結果, 冬の積算海水温が高い年ほど遡上初認日が早く, 遡上観察群数も多いという有意な傾向が認められた。また, 遡上初認日が早い年ほど遡上観察群数は多く, 遡上観察群数が多い年ほど秋の平均体重は小さいことが明らかになった。以上の結果から, 遡上初認日は冬の積算海水温から, 遡上観察群数は冬の積算海水温と遡上初認日からそれぞれ予測できると考えられた。