2004 年 70 巻 3 号 p. 318-323
アユ放流前 (2月) の河川においてオイカワに発生した冷水病の原因菌をめぐる在来魚種と放流アユとの同所的動的関係を冷水病菌のPCR-RFLP型を識別手段として4月から6月まで追跡した。オイカワの冷水病菌 (BS型) は, アユ放流後の5月下旬までオイカワにのみ保菌されていた。一方, アユでは冷水病の発症, 保菌が6月下旬まで確認されたが, BS型は検出されなかった。オイカワとアユの冷水病菌の間には宿主をめぐって一定の隔離があることと, 室内実験からも冷水病菌の宿主に対する感受性に違いがあることが明らかになった。