2005 年 71 巻 5 号 p. 746-754
大村湾産 Heterocapsa circularisquama 株 5,000 cells/mL に暴露した場合に,アコヤガイ稚貝は 2~3 日,アサリは 4~6 日で 100% の個体が斃死し,本株の二枚貝に対する毒性が確認された。本株は 12.5~30℃,塩分 16~36 の範囲で増殖し,比増殖速度は高水温・高塩分ほど高く,最大値は 30℃,塩分 32 の時に 0.91 day-1 であった。本株は弱光の 10 μmol/m2/s でも増殖し,比増殖速度は光強度の増加とともに高くなり,80 μmol/m2/s で飽和した。本株の比増殖速度の光強度半飽和定数は 24.0 μmol/m2/s,閾値は 15.5 μmol/m2/s であった。鱗片観察による分布調査の結果,本種は大村湾,伊万里湾および橘湾に出現することが確認された。