本研究は,環境省レッドリスト(2007)に記載された絶滅のおそれのある汽水・淡水魚類 226 種と非該当種 132 種を対象とし,生息場所,体サイズ,食性などの 20 変数に着目して,国内広域分布種から絶滅危惧種へと移行した魚種の生態的特性の抽出を試みた。国内広域分布種 109 種のうち 41 種(37.6%)が絶滅のおそれのある種としてリストアップされていた。ロジスティック回帰分析の結果,人間活動における各魚種への干渉や馴染みの程度を示す,人間との距離が,普通種から絶滅危惧種への移行予測に有効であることが示された。