2011 年 77 巻 1 号 p. 40-52
八代海において,Chattonella antiqua の増殖および栄養塩との関係について検討した。まず,本種を用いた現場海水のバイオアッセイ試験を行った。その結果,培地成分のうち,窒素,リンまたは鉄源を添加しなかった場合に増殖速度は低下し,海水試料に N 源を単独で添加した場合に向上した。また,2008 年の本種ブルームの発生直前には DIN および DIP 濃度の上昇が認められた。本研究より,八代海において C. antiqua の増殖は第一に窒素,次にリンおよび鉄源によって制限されていることが推定された。