2011 年 77 巻 1 号 p. 8-14
天草下島周辺海域に周年定住するミナミハンドウイルカ Tursiops aduncus を対象としてイルカウォッチング船が群れの行動に及ぼす影響を調べた。陸上定点から群れの行動観察を行い,群れの位置をセオドライトで計測した。個体が間隔を詰めて同調的な潜水浮上を繰り返す時,ウォッチング船が 1 隻でも存在すると,不在時に比べて潜水時間が長くなり,浮上中の速度が増加した。4, 5 隻以上存在した時,潜水地点から浮上地点までの距離が増加し,浮上時間が減少した。群れに接近可能な隻数制限の導入が必要である。