2012 年 78 巻 2 号 p. 198-203
全世界の亜熱帯から温帯域に広く分布するアカイカの,南北大洋間の遺伝的差異を明らかにすることを目的に,北太平洋と南大西洋で採集された各 50 個体を用い,mtDNA 16S rRNA 領域(506 bp)の塩基配列分析を行った。その結果,13 種類のハプロタイプが検出され,北太平洋標本群と南大西洋標本群では共通するハプロタイプをもたず,3 つのサイトにおいて異なる塩基の固定がみられた。Exact test の結果は p<0.001 で有意差が認められ,両集団間に遺伝的分化が見られることが確認された。