2014 年 80 巻 2 号 p. 185-190
北太平洋産ミンククジラの精巣において,4 月から 10 月にかけての季節的変化を検討した。精巣重量の変化には 268 個体を使用し,うち 70 個体(各月 10 個体)の精巣組織を観察した。分析の結果,精巣重量は体長 7 m 以上の個体でのみ 7 月頃から増加が認められた。精細管直径は 5~6 月に縮小した後,徐々に拡大した。精母細胞など発達した精細胞は 7 月に最も減少し,その後増加した。これらのことから,ミンククジラの精子形成は 5 月から 6 月にかけて停滞し,8 月には次の繁殖期に向け準備が始まるという季節的変化が示唆された。