2016 年 82 巻 4 号 p. 601-607
ブリ Seriola quinqueradiata では有用経済形質を有する系統を作出するため,ゲノム編集技術のための顕微注入試験等が行われている。しかし,小型容器での孵化管理では通気による水の攪拌が困難で沈降死を防げず,孵化率が著しく低い。本研究はブリ受精卵の卵比重の変化を把握し,塩分調整により卵の沈降を抑制することで小型容器での孵化管理を試みた。塩分 35 psu の海水では,顕微注入卵でも 56.7% の正常孵化率を得ることができたことから,小型容器の孵化管理における高塩分海水飼育の有用性が示された。