2017 年 83 巻 2 号 p. 191-198
茨城県鹿島灘沿岸の重要な水産資源であるチョウセンハマグリの年齢推定法を確立するため,貝殻断面の輪紋と殻表の「リング」の年齢形質としての有効性を検討した。試料には,放流後の生存期間が分かる標識再捕貝の殻を用いた。試料は小型グラインダーで切断し,断面を研磨後,スキャナーで画像を取得した。断面の輪紋数は,試料が放流後に経験した冬の回数と概ね一致したことから,冬季に形成される年輪であると考えられた。殻表の「リング」ではほとんど一致しなかった。本種の年齢は,貝殻断面の輪紋数によって推定できると示唆された。