2017 年 83 巻 4 号 p. 631-638
本稿の目的は,フィリピン共和国パナイ島バタン湾産水産物をめぐる流通実態および主体間関係の解明である。流通のステークホルダーに対し,調査票を用いた面接調査を行った。国内で完結する生鮮魚介類フードシステムにおける主体間関係の検討より,一部の流通業者による独占や寡占といった状態は形成されていないと判断できた。そして,流通業者の調達・販売の困難さが増しており,集荷競争が激化していた。旺盛な需要が資源減少を招き,さらに集荷競争激化により資源減少が強まる可能性が示唆された。