2017 年 83 巻 5 号 p. 785-794
冷凍マサバを−2℃から−20℃の温度で一定期間貯蔵(解凍前温度処理)を行い,この時の筋肉中の嫌気的代謝関連指標の変化ならびに解凍後の性状を調べた。冷凍マサバでは,本処理により解凍後のpH低下抑制効果は得られないこと,処理期間に伴って血合肉色調に影響を及ぼすことがわかった。同処理によりpH低下抑制効果の認められたメバチよりも,処理期間中におけるNAD減少速度が有意に小さかったことから,pH低下を抑制する効果が得られるのは,解凍前温度処理中におけるNAD減少速度が速い魚肉に限られることが示唆された。