日本水産学会誌
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高濃度のアデノシン三リン酸存在下で凍結し解凍したヒラメ肉の性状
緒方 由美岩根 理歩木村 郁夫
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2018 年 84 巻 5 号 p. 835-842

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抄録

 クドアが寄生したヒラメの刺身で食中毒の発生が報告された。寄生虫対策の冷凍処理は刺身商材の商品価値を著しく損ねると考えられている。本研究ではATPのタンパク質変性抑制作用に着目しヒラメの高品質冷凍解凍刺身の製造法について検討した。ヒラメを活けしめ後,魚肉中に高濃度ATPが残った状態で急速凍結し,解凍硬直を抑制した緩慢解凍を行うことにより筋原線維タンパク質の変性が抑制され高品質刺身性状を示した。また,ヒラメミオグロビンのメト化率測定法を確立し,ATPは冷凍保存中のメト化を抑制することを明らかにした。

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© 2018 公益社団法人 日本水産学会
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