2019 年 85 巻 2 号 p. 162-172
2016年夏季に八代海で発生したChattonella赤潮について,モニタリングデータを統合し,発生要因ならびに養殖ブリ斃死との関係を解析した。Chattonella赤潮は,気象擾乱に伴う表層栄養塩濃度の上昇後,再び成層化した9月上中旬に中部から南部で急速に発達した。養殖ブリの斃死率は漁場ごとの成層強度を反映したChattonella細胞密度の高低や増加のタイミングと対応しており,各漁場での海洋環境のリアルタイム監視が適切な時期に餌止め等の被害軽減策を行うために重要であることが示唆された。