2020 年 86 巻 5 号 p. 402-409
赤身魚肉の褐変の原因は,ミオグロビン(Mb)のメト化である。オキシMbにおいて,メト化は遠位ヘムポケット内の水分子が鉄原子と反応することにより進行する。オキシMbと1分子の酸素を含む系の分子動力学シミュレーションを実施したところ,酸素分圧は約1.6 atmとなった。酸素分子の約4割がMbと相互作用し,遠位ヘムポケット内の水分子の数は,約2/3に減少した。1 atmの酸素存在下では,真空包装時よりもオキシMbのメト化速度を3/4程度に遅延させることが示唆された。