2021 年 87 巻 1 号 p. 11-22
近年の東京湾では,外来性二枚貝のホンビノスガイが増えているが,生態系への影響はわかっていない。本研究では,エンクロージャーを使った野外操作実験を行い,ホンビノスガイが,砂質干潟で,底質環境,底生微細藻類およびベントス群集に与える影響を測定した。春のホンビノスガイは在来種アサリと比較して,その生物攪拌により底質の粒度と酸化還元電位を大きくし,さらに底生珪藻の現存量を増加させる生態系機能を有することがわかった。しかし,メイオベントスやマクロベントスの現存量や種組成への影響は見られなかった。