論文ID: 16-00086
アカガレイ卵・仔魚の輸送過程を明らかにする端緒として,飼育実験で,卵・仔稚魚の発生・発育に伴う比重変化の測定および卵発生速度と水温(1-12℃)の関係を調べた。卵の比重は,生息域である噴火湾の海水密度より常に低く,浮上したが,卵黄嚢仔魚では逆転した。屈曲前前期の仔魚の比重は海水密度とほぼ同等になり,それ以降は発育とともに再び高比重になった。水温1-12℃において,卵および卵黄嚢仔魚期の日数は高水温ほど短かった。水温や生息水深別の流向・流速の年較差が卵・仔魚の輸送過程を変化させている可能性が示唆された。