論文ID: 20-00006
宮城県で重要な養殖対象種であるマボヤの出荷最盛期は下痢性貝毒発生時期でもあるが,本種における毒化の知見は十分ではない。このため,毒化の指標種とされる同所で飼育したマボヤとムラサキイガイの下痢性貝毒の分析を行い,マボヤでは貝毒発生期間を通じて下痢性貝毒が肝膵臓に偏在していることを明らかにした。加えて両種は同じ原因プランクトンDinophysis fortiiにより毒化したと考えられるが,マボヤはムラサキイガイと比較しokadaic acid(OA)の割合が高く,また,過去のモニタリング検査でも同様であったことから,分類群間での代謝の違いなどが疑われた。