1999 年 65 巻 5 号 p. 856-859
ツキヒガイを短時間のうちに開殻させ軟体部の手術が可能な方法として塩化マグネシウム溶液を閉殻筋に注射する方法を採用し, その確立を目的とした。注射液は自然海水および0.2M, 0.4M, 0.6Mの塩化マグネシウム溶液, 注射量は1ml, 3ml, 5mlとした。いずれの条件下でも, 注射直後腹縁中央が開殻度にして9-12度開いた。0.4M溶液5ml, 0.6M溶液3ml, 0.6M溶液5mlを注射した時は, 接触刺激によっても閉殻筋の収縮は起こらず, 軟体部の手術が可能であった。この方法は, 感覚閉塞等の種々の実験技術に応用できる。