計量魚群探知機による表層魚群の資源調査は,魚群が船に対して逃避行動を示すなどの問題があり,結果の信頼性が低い。そこで,計量用のソナーの開発が期待される。本研究は,その第一歩として,市販の漁業用全周型スキャニングソナーの定量化を試みる。定量化ソナーシステムを構成し,標準球を用いてソナーの較正を行い,表層魚群の観測実験を行った。受信系から生のエコ一信号をコンピュータに取り込み,後処理で,表層魚群のエコーを追跡し,生の体積散乱強度(SV)を求め,調査船の航走海域における表層魚群の生のSVの分布を表示した。本研究により,ソナーによる表層魚群計測の有効性と,本格的な計量用ソナーの開発の可能性が確かめられた。