抄録
〔目的〕 膵頭十二指腸切除術 (PD) の術前リスク評価におけるPOSSUMの有用性について検討を加えた. 〔対象と方法〕 1996年5月より2004年4月まで施行した141例のPDを対象とした. 手術死亡は6例 (4.3%) であり, 術後合併症は43例 (30.5%) に認められた. 術後合併症の有無により, 2群に分けて術前因子, 手術因子, およびPOSSUMの比較を行った. 〔結果〕 術後合併症の有無による各因子別の結果, 術前13因子と術中4因子のいずれにおいても有意差は認められなかった. しかし, POSSUMのphysiological score, operative severity score, 予測死亡率, 予測合併症発生率, およびP-POSSUMの予測死亡率において, 術後合併症あり群となし群の間に有意差を認めた. 〔結語〕 PD症例におけるリスク判定法としてPOSSUMは有用である.