2006 年 21 巻 5 号 p. 404-411
Protein kinase C(PKC)は,生体のほとんどの組織・細胞に発現しているセリン・スレオニン蛋白質リン酸化酵素であり,様々な細胞内情報伝達において重要な分子スイッチとして機能している.膵腺房細胞においては,膵外分泌調節,炎症応答や細胞死の制御など多彩な細胞現象に関与している.最近,アイソフォーム特異的な阻害剤/活性化剤の開発や分子生物学的手法の進歩によって各アイソフォームの役割についての解析が可能となり,膵腺房細胞の生理応答や急性膵炎の病態形成に関与するPKCアイソフォームの特定やその分子機序についての知見が蓄積されつつある.