膵臓
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特集:膵癌化学療法の最前線
膵癌細胞における塩酸ゲムシタビンによるアポトーシス関連遺伝子発現の変化
島崎 猛夫石垣 靖人源 利成元雄 良治
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2007 年 22 巻 1 号 p. 14-20

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抄録

膵癌の塩酸ゲムシタビン(GEM)に対する感受性や耐性の分子メカニズムは明らかにされていない.本研究ではヒト膵癌細胞株PANC-1を対象にして,GEMによるアポトーシス関連遺伝子発現の変化を検討した.cDNAマイクロアレイ解析により,GEMを作用させたPANC-1細胞株において発現量が変化した372個の遺伝子が抽出された.これらの遺伝子群をIngenuity Pathway Analysis(IPA)を用いて解析したところ,gene expression,cell deathやDNA replicationに関する遺伝子がとくに変化していた.発現スコアの高かった上位2グループのパスウェイ解析により,p53mycの分子経路がPANC-1のGEM処理に連動して変化していた.半定量的RT-PCR法においても,p53関連因子であるTP53INP1のmRNA発現はPANC-1に作用させたGEMの濃度依存性に増加していた.以上の結果より,膵癌細胞のGEMに対する感受性や耐性の分子メカニズムに,p53およびmyc経路の関与が示唆された.

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© 2007 日本膵臓学会
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