2007 年 22 巻 6 号 p. 620-623
日本の自己免疫性膵炎(AIP)の診断基準は,2002年に日本膵臓学会から提唱され,2006年には厚労省難治性膵疾患調査研究班を中心に改訂された.わが国のAIP診断基準は,膵画像,血清学検査,膵組織の3項目からなっているが,外国の診断基準は,ステロイドに対する反応性も取り上げている.AIP診断では膵癌をAIPと診断しないことであり,感度よりも特異度が重要となる.ステロイドによる治療的診断は,感度を上げるが,特異度を下げる危険性がある.AIPも,自然経過あるいはステロイド治療後では慢性膵炎の特徴的所見を呈するようになってくる症例もある.したがって,今後臨床病期に応じた診断基準,あるいはスコアによる診断·評価方法等を考えなければならないし,AIP症例の中で慢性膵炎へ進展する症例と進展しない症例の違いを解明していかねばならない.