膵臓
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特集:自己免疫性膵炎 最前線
自己免疫性膵炎の全国調査
西森 功大西 三朗大槻 眞
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2007 年 22 巻 6 号 p. 651-656

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抄録

2002年の1年間に受療した自己免疫性膵炎症例について全国調査を行った.自己免疫性膵炎の推計年間受療者数は900人(95%信頼区間:670-1,110人),有病患者数は人口10万対0.71人であった.60歳代に発症のピークがあり(全体の45%),46歳以上で全体の96%を占めていた.男女比は2.77:1であった.び漫性の膵腫大と膵管狭細像をともに認める症例は全体の42%であった.血清学的検査の中では血中IgG4値(135mg/dl以上)の感度が最も高かった(83%).多くの症例で膵部での総胆管狭窄がみられたが,膵外胆管狭窄を示す症例は約10%であった.その他の膵外合併症として,唾液腺病変(9.4%),後腹膜線維症(7.3%),慢性甲状腺炎(2.6%),間質性腎炎(1%),間質性肺炎(1%)がみられた.治療として当初(2001年以前)は膵切除の施行される症例が22%もあったが,2002年以降は約90%の症例でステロイド治療が行われていた.

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© 2007 日本膵臓学会
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