膵臓
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特集:自己免疫性膵炎 最前線
諸外国における自己免疫性膵炎の捉え方
神澤 輝実
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2007 年 22 巻 6 号 p. 672-676

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抄録

本邦における自己免疫性膵炎は,高齢の男性に好発し,症状は黄疸が多く,急性膵炎を呈する例は少ない.病理組織学的には,膵臓には著明なリンパ球と形質細胞の浸潤と線維化を認めlymphoplasmacytic sclerosing pancreatitisと呼ばれている.血中IgG4は高率に上昇し,多数のIgG4陽性形質細胞の浸潤を諸臓器に認める.ヨーロッパのグループは,自己免疫性膵炎で好中球の膵管上皮への浸潤(granulocytic epithelial lesion(GEL))を認める例では,発症年齢が若く,男女差がなく,炎症性腸疾患の合併が多くみられたと報告した.Mayo Clinicも,膵小葉内を中心に多くの好中球の浸潤を認める例をidiopathic duct-centric chronic pancreatitisと呼称し,この例では上記のGEL陽性の例とほぼ類似の臨床像を呈すると報告している.本邦では,このような例の報告はほとんどない.
韓国とアメリカから2006年に自己免疫性膵炎の診断基準が提唱された.両国と本邦の診断基準の大きな違いは,診断基準にステロイドの反応性と膵外病変の有無を取り入れている点である.今後international consensusを作る必要がある.

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© 2007 日本膵臓学会
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