自己免疫性膵炎は本邦から疾患概念が提唱され,世界的にもこの疾患に対する認識が急速に高まりつつある.一方では,IgG4陽性形質細胞の膵への浸潤と血清IgG4高値を特徴とすることや,多彩な膵外病変を伴い全身疾患である可能性が提唱されるなど,疾患概念自体も変化してきており,なお流動的な側面を有している.病因や病態について今後明らかにされるべき多くの問題を抱えているが,特に臨床上早急にコンセンサスを要する点として,1)慢性膵炎の疾患概念における自己免疫性膵炎の位置づけ,2)自己免疫性膵炎の臨床病理学的な均一性,3)ステロイドによる診断的治療の是非,の3点を挙げたい.これらは,この疾患に関して臨床上混乱をきたす可能性のある大きな要因と考えられ,世界的にもより多くの専門家の間でコンセンサスが必要な問題である.