膵臓
Online ISSN : 1881-2805
Print ISSN : 0913-0071
ISSN-L : 0913-0071
特集:膵炎研究モデルの作製,選択,適用
ハムスターを用いた主膵管内乳頭腺癌誘発モデルの作成
足立 智彦田島 義証黒木 保小阪 太一郎三島 壮太常岡 伯紹兼松 隆之
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 23 巻 1 号 p. 54-59

詳細
抄録

膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の臨床研究は多岐に渡り進行している.疾患病態の更なる解明ならびに治療への展開にはIPMN動物モデルの確立が有用と思われる.我々は,主膵管内乳頭腺癌(IPC)を高率に誘発することが可能なハムスターモデルを作成した.このモデルの特徴は,下部共通管結紮及び胆嚢十二指腸吻合を施行することで膵管内へ胆汁が逆流し,胆汁刺激により主膵管上皮の細胞回転亢進をきたすことにある.このモデルに膵癌誘発剤を負荷すると,通常型浸潤膵癌のみならずIPCが高率に発生する.誘発されたIPCは著明な膵管内乳頭状増殖を示し,またslow growthであることが示唆され,これらの特徴はヒトIPMNと類似していた.今後このハムスターモデルを用いた種々の検討が,ヒトIPMNにおける臨床課題を克服する一助となり得ると考えられる.

著者関連情報
© 2008 日本膵臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top