膵臓
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症例報告
術中超音波で確定診断された膵仮性嚢胞内仮性動脈瘤の一切除例
佐藤 学江川 新一福山 尚治蝦名 宣男原田 昭彦對馬 清人元井 冬彦海野 倫明佐々木 巖
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24 巻 (2009) 2 号 p. 176-183

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抄録

慢性膵炎の合併症として膵仮性嚢胞は手術適応のひとつとなりうる.仮性嚢胞内の消化酵素が血管を浸食し,破裂させることが稀にある.嚢胞内出血が腹腔内や消化管内に起こると,大量出血により致命的となる.今回嚢胞内出血が嚢胞外への穿破を逃れ,術前には確定診断がつかず,術中超音波で診断された膵仮性嚢胞内仮性動脈瘤の一例を経験した.症例は56歳の男性.2001年に急性膵炎を発症.保存的加療で軽快したが,大量飲酒を連日続けていた.2007年に上腹部痛出現し,精査したところ,CT上膵仮性嚢胞と慢性膵炎を指摘された.また嚢胞内はわずかに造影効果があったが,全身状態が安定していることと,血管造影が施行できなかったことで嚢胞内出血を断定できなかった.手術施行し,開腹後超音波検索で嚢胞内のジェット流が認められ,嚢胞内出血が確認された.脾動脈を結紮するとジェット流は消失し,脾動脈からの出血と考えられた.その後膵体尾部切除,DuVal式膵空腸吻合術を施行した.標本では嚢胞内に器質化した凝血塊が存在し,そのなかで仮性動脈瘤が形成されていたために腹腔内や消化管内への穿破出血を免れたと考えられた.膵仮性嚢胞内出血が疑われたときは,血管造影を含め慎重な術前評価を行い,術式の決定を行うべきである.

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© 2009 日本膵臓学会
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