2009 年 24 巻 4 号 p. 527-531
症例は68歳女性.黄疸の精査のため,当院紹介となった.CT上膵頭部に造影効果を受ける径4cm大の腫瘍を認め,内視鏡では十二指腸乳頭部の開口部より腫瘍が突出しているのが観察された.この部分を内視鏡下に生検することにより,術前に病理学的に非機能性膵内分泌腫瘍の診断を得た.
膵頭部の腫瘍に対して,膵頭十二指腸切除術を行った.病理組織診断では主膵管内に腫瘍が充満し,十二指腸乳頭部の開口部より突出するように進展した,非機能性膵内分泌腫瘍と診断された.
膵内分泌腫瘍は,一般的には膨張発育形式を示すものが多いとされている.膵管内に腫瘍を認めた報告もあるが,主膵管内に充満し,十二指腸乳頭部の開口部より十二指腸内に突出するように進展するものはまれであると考えられるため,若干の文献的考察を加えて報告する.