わが国でこれまで使用されてきた慢性膵炎の臨床診断基準は,1995年に日本膵臓学会が作成した診断基準にMRCP所見を加えて改訂した2001年のものであった.旧診断基準は,進行した慢性膵炎の診断基準であり,患者予後の改善につながりにくく,すでに施行不能な外分泌検査法が診断項目に含まれるなど現状にそぐわなくなっていた.厚生労働省難治性膵疾患に関する調査研究班,日本膵臓学会,日本消化器病学会は,慢性膵炎臨床診断基準の改訂を行い,「膵臓」の本号に公表することになった.新基準「慢性膵炎臨床診断基準2009」の最大の特徴は,早期慢性膵炎の概念を取り入れたことである.早期診断,早期治療による患者予後の改善を目指した試みであるが,早期慢性膵炎の自然史については今後,この群の追跡調査によって明らかとなる.