膵臓
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慢性膵炎臨床診断基準2009
診断基準の解説―3.組織所見―
須田 耕一
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2009 年 24 巻 6 号 p. 661-665

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抄録

“慢性膵炎臨床診断基準2009”の特徴的な組織所見は,確診所見が「膵実質の脱落と線維化が観察される.膵線維化は主に小葉間に観察され,小葉が結節状,いわゆる硬変様をなす」であり,準確診所見が「膵実質が脱落し,線維化が小葉間または小葉間·小葉内に観察される」である.組織所見の骨子は膵実質の脱落と線維化である.線維化が小葉間に存在してもそれだけでは準確診所見であり確診所見には硬変様の像が必要である.小葉間·小葉内線維化は閉塞性膵炎に特徴的な所見でもあり,準確診所見には病変の分布が‘不均一’であることを要し,因みに‘均一’が閉塞性膵炎である.慢性膵炎の診断に当たり,特に避けねばならないのは切除膵などにおいて“癌がなければイコール慢性膵炎”ではないのである.
以上のように“慢性膵炎臨床診断基準2009”は,従来の基準をより簡潔·明確にしたものである.

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© 2009 日本膵臓学会
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