膵臓
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慢性膵炎臨床診断基準2009
診断基準の解説―6.早期慢性膵炎の概念―
佐田 尚宏
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2009 年 24 巻 6 号 p. 676-679

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抄録

慢性膵炎臨床診断基準2009では早期慢性膵炎の診断基準が作成された.慢性膵炎確診·準確診と診断し得ない症例で,臨床所見4項目(「反復する上腹部痛発作」「血中または尿中膵酵素値の異常」「膵外分泌障害」「1日80g以上(純エタノール換算)の持続する飲酒歴」)のうち2項目以上陽性の症例を慢性膵炎疑診とし,EUS,ERCPによる精査で早期慢性膵炎の画像所見が認められる症例を早期慢性膵炎と診断する.早期慢性膵炎診断基準は,従来の診断基準が「高度の完成された慢性膵炎しか診断できない」という問題点を克服し,「早期診断,早期治療導入」へ道を開いた点で画期的といえる.しかし現時点では,この診断基準は十分なデータに基づいているわけではなく,臨床所見4項目のうち陽性1項目以下で早期慢性膵炎の画像所見を示す症例の取扱いを含め,今後の症例の蓄積で診断的価値および妥当性を検証する必要がある.

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© 2009 日本膵臓学会
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