膵臓
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症例報告
主膵管浸潤を来した1.2cmの非機能性膵内分泌腫瘍に対し腹腔鏡補助下膵尾部切除を施行した1例
安積 良紀伊佐地 秀司加藤 宏之栗山 直久岸和田 昌之濱田 賢司水野 修吾臼井 正信櫻井 洋至田端 正己井上 宏之葛原 正樹竹井 謙之内田 克典白石 泰三
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2009 年 24 巻 6 号 p. 717-725

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抄録

非機能性膵内分泌腫瘍,特に2cm以下では主膵管に浸潤することは極めて稀である.我々は1.2cmの小非機能性膵内分泌腫瘍が主膵管に浸潤·狭窄を来した1例を経験した.症例は58歳男性.健康診断を契機にCTで膵腫瘍を発見された.造影CTでは膵体部に早期層で濃染される1cm大の腫瘍および尾側膵管の拡張を認め,ERPでは尾部膵管に拡張を認めた.EUSでは膵体部に10mm大の類円形腫瘤を認めた.腫瘍マーカーや内分泌検査に異常はなかった.主膵管浸潤を伴う非機能性膵内分泌腫瘍と診断し,腹腔鏡補助下脾合併膵体尾部切除術を施行した.病理所見ではwell-differentiated endocrine carcinomaで,主膵管内への浸潤と膵近傍の脂肪組織浸潤を認めたが,剥離面は陰性であった.2cm以下の小膵内分泌腫瘍で膵管浸潤を認めたものは,6例の報告しかないが,うち4例は明らかな悪性であった.非機能性膵内分泌腫瘍で主膵管狭窄を伴う場合は,悪性を念頭にリンパ節郭清を伴う膵切除が適応であるが,周囲リンパ節腫大がない場合には腹腔鏡補助下脾合併膵体尾部切除術は適応可能と考えられた.

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© 2009 日本膵臓学会
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