膵臓
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症例報告
診断に苦慮した多房性嚢胞を伴う骨化形成性浸潤性膵管癌の1例
長尾 祐一皆川 紀剛松山 篤二山口 幸二
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2011 年 26 巻 4 号 p. 549-554

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抄録

症例は80歳,女性.近医の超音波検査にて膵尾部の嚢胞性病変を指摘され,当科を紹介受診された.精査にて,膵尾部に50mm大の多房性嚢胞性病変,嚢胞と膵の境界部分に20mm大の充実性腫瘤を認めた.浸潤性粘液性嚢胞腺癌(MCC)もしくは,膵管内乳頭粘液性腺癌(IPMC)を考え,2010年9月膵体尾部・脾切除,横行結腸部分切除を施行した.切除標本では膵尾部に多房性嚢胞を認め,嚢胞の膵体部側に白色調充実部分を認めた.組織学的には,充実部分は中分化型腺癌の所見で,嚢胞壁は厚い線維性隔壁で,上皮はすべて異型細胞で覆われていた.一部では骨化形成も認めた.典型的な卵巣様間質は認めず,主膵管との交通も明らかではなかった.骨化形成を伴った浸潤性MCCが疑われるが確定診断に至らなかった.

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© 2011 日本膵臓学会
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