膵臓
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症例報告
経鼻膵管ドレナージが奏効した重症急性膵炎の1例
松家 健一菊山 正隆黒上 貴史
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2011 年 26 巻 6 号 p. 719-724

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抄録

39歳女性.気管支喘息にて当院呼吸器内科にて経過観察中に,激しい上腹痛を主訴に当院救急外来受診した.上腹部に強い圧痛を認め,身体所見,血液検査およびCT所見から重症急性膵炎と診断した.CTにて膵頭部領域と思われる部位に小膵石を認め,膵管閉塞が病態に関係している可能性を考え,十分なインフォームドコンセントの上,第1病日に内視鏡的逆行性膵管造影(ERP)を施行した.膵管造影にて頭体移行部に高度の狭窄を認め,その上流側膵管に上方への造影剤の漏出を認めた.狭窄部より上流側に経鼻膵管ドレナージを留置し終了した.翌日には血液検査,身体所見ともに改善し,第4病日から経口摂取を開始した.ドレナージチューブは自然脱落したが,症状の再発はなかった.第15病日にERPを再検し造影剤の漏出がないことを確認した.膵炎再発予防のために狭窄部上流にまで膵管ステント(EPS)留置し,第16病日に退院した.

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© 2011 日本膵臓学会
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