膵臓
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特集:生活習慣と膵疾患
慢性膵炎診療における断酒・生活指導の問題点と今後の展望
中村 太一伊藤 鉄英丸山 勝也下瀬川 徹
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2012 年 27 巻 2 号 p. 113-120

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抄録

慢性膵炎は非可逆性進行性の線維化疾患であり,腹痛による日常生活の質の低下,膵外分泌機能不全による栄養不良,膵内分泌機能不全による膵性糖尿病をきたし,また膵癌の発生も高率であることから,その生命予後は健常者に比し短い.慢性膵炎の病態には飲酒,喫煙,食事などの生活習慣因子が強い影響を与えるが,これらの因子が慢性膵炎診療において意識されることは少なく,その根本的な原因として成因分類の問題があると考えられる.また,断酒・生活指導には科学的根拠が少ない指導方法も存在する.そのため,成因と病態・予後との関連や,治療としての断酒・生活指導の有効性が検証できていない.成因分類を現在の状況において修正,検証し,実際の指導方法をその有効性の観点から,比較,吟味することが,これらの五里霧中な状況に光明をもたらすと考えられる.今回,慢性膵炎の断酒生活指導指針における問題点および,今後の対策について明らかにした.

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© 2012 日本膵臓学会
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