【目的】糖尿病患者における,膵癌の効率的なスクリーニング法の確立を目指し,糖尿病合併膵癌患者の臨床的背景をretrospectiveに検討した.【方法】膵癌(IPMCは除く)466例のうち発見時すでに糖尿病を合併していた68例を対象とした.糖尿病関連発見群:糖尿病の増悪を契機に発見された症例,糖尿病非関連発見群:糖尿病関連以外で発見された症例,の2群に分け,膵癌診断時の症状,HbA1c,各種腫瘍マーカー,外科的切除率について比較検討した.【結果】糖尿病関連発見群では32.4%,糖尿病非関連発見群では100%で有症状であった.各種腫瘍マーカーは両群で有意差はなかったがいずれも高値で,HbA1c(10.0±1.9% vs 8.6±2.1%,p=0.006),外科的切除率は糖尿病関連発見群で有意に高かった.【結論】糖尿病症例において,症状が軽度であってもHbA1c値が10%以上,腫瘍マーカーが高値の場合には各種画像検査を行うことで,より早期での膵癌の診断が可能となると考えられた.