目的:結節を認めない分枝型IPMN症例の長期経過について検討する.方法:初回診断時にEUSで結節を認めない分枝型IPMN 349例を解析した.結果:観察期間は1~16.3年(中央値3.7年)であり,62例(17.8%)に病変の進展がみられた.うち22例に外科切除術を行い,病理学的には腺癌9例,腺腫13例であった.残りの287例(82.2%)には進展を認めず,症状等の理由で7例に切除術を行ったが,全例腺腫であった.また,分枝型IPMNと別病変として通常型膵癌の発生を7例(2.0%),新たな分枝型IPMNの出現が13例(3.7%)にみられた.全体では320例(91.7%)は経過観察継続中である.結論:EUSで結節を認めない分枝型IPMNの多くは経過観察可能である.しかしながら,経過観察に際し,病変の進展と通常型膵癌の発生に留意する必要がある.