2014 年 29 巻 6 号 p. 871-872
膵癌切除手術の補助療法として,ゲムシタビンに続いてS-1による術後補助療法が確立し,大きく治療成績が改善している.最近では術前補助療法としてゲムシタビン+S-1併用療法やFOLFIRINOX療法などの抗腫瘍効果の高い治療を用いた臨床試験が進められている.切除不能膵癌の化学療法では,フランスからFOLFIRINOX療法が報告され,標準治療のゲムシタビンに比べ大きな生存期間の延長が得られている.日本でも第II相試験が実施され,2013年,適応が承認された.このような化学療法の進歩を実臨床に確実に導入し,実施する目的で膵癌診療ガイドラインが作成されている.今回の特集は切除手術の術前,術後補助療法と新たに登場したFOLFIRINOX療法を取り上げ,最新の膵癌診療ガイドラインから膵癌の化学療法を展望するという内容で企画された.膵癌化学療法に対する理解が進むものと期待される.