(目的)日本における急性膵炎診療の実態を明らかにすること.(方法)2011年1年間の急性膵炎患者を対象とした全国疫学調査の2次調査票を解析した.(結果)2694例分の2次調査票を用いて入院時における重症度の評価および日本の病院で行われている急性膵炎発症早期の治療である,初期輸液療法,経腸栄養療法,予防的抗菌薬治療,蛋白分解酵素阻害薬,蛋白分解酵素阻害薬・抗菌薬膵局所動注療法(動注療法),血液浄化療法,胆石性急性膵炎に対する内視鏡治療,さらに急性膵炎の晩期合併症であるwalled-off necrosis(WON)および仮性嚢胞に対する治療の実態について明らかにした.(結論)日本で現在行われている予後因子スコアと造影CT Gradeを用いた,発症から48時間以内の重症度評価は,急性膵炎症例の予後予測に有用である.個々の介入治療は今後客観的に評価される必要がある.