膵臓
Online ISSN : 1881-2805
Print ISSN : 0913-0071
ISSN-L : 0913-0071
症例報告
膵尾部epidermoid cystに合併し偶発的に検出された微小浸潤膵管癌の1例
金子 太一佐藤 高光栗田 裕介岩崎 暁人加藤 真吾香川 幸一細野 邦広梅田 茂明遠藤 格中島 淳窪田 賢輔
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 32 巻 2 号 p. 168-177

詳細
抄録

症例は54歳女性で,左乳癌の術後でホルモン治療中であった.経過観察中のCTにて膵尾部に嚢胞性病変が出現し,1年間で急激な増大を認めたため,膵腫瘍性嚢胞を否定できず膵体尾部切除術を施行した.切除断端の術中迅速病理診断にて腺癌が検出されたため,追加切除を施行され完全切除となった.

膵尾部嚢胞はEpidermoid Cystと診断された.1回目の切除断端には微小浸潤癌,その周囲には膵上皮内腫瘍性病変(PanIN)が数か所認められた.これらは術前に造影CT,超音波内視鏡(EUS),MRCP,PET-CTを施行していたが,指摘不能であった.画像と病理像の詳細な対比を行ったところ,MRCPでは病変の部位に一致して極僅かな膵管の不整と,EUSでは微小な低エコー領域を指摘可能であった.本症例における微細な画像変化は,今後の早期診断に有用な所見と考えられた.

著者関連情報
© 2017 日本膵臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top