2017 年 32 巻 5 号 p. 806-811
重症急性膵炎の栄養療法として,近年早期からの経鼻空腸チューブ下経腸栄養(NJT-EN)が推奨されている.本研究では,重症急性膵炎治療における経鼻胃管チューブ下経腸栄養(NGT-EN)と中心静脈栄養(TPN)の有用性について後ろ向きに比較検討した.対象は2005年~2013年に当科で加療した重症急性膵炎96例.TPN群(14例),早中期NGT-EN群(発症後8日以内に開始,30例),後期NGT-EN群(9日以降に開始,35例),TPN(-)EN(-)群(12例)間で回復期間や合併症について比較検討した.結果,経口摂取開始病日,CHDF施行率について早中期NGT-EN群ではTPN群と後期NGT-EN群より有意に良好な結果が得られた.重症急性膵炎の回復期短縮,多臓器不全抑制に発症8日以内からのNGT-ENは有効と思われる.