膵臓
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特集 膵切除後の合併症とその対策
膵頭十二指腸切除後の胃内容排出遅延
竹山 宜典
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2019 年 34 巻 4 号 p. 138-143

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抄録

膵頭十二指腸切除術後に起こる胃内容排出遅延は致命的合併症ではないが,在院日数の延長や補助化学療法の施行にも影響する術後合併症である.特に幽門輪温存膵頭十二指腸切除術の普及に伴い顕在化し,これまで多くの解析がなされてきた.その結果,現在でも全患者の20~25%に合併すること,幽門輪温存よりも亜全胃温存の方が起こりにくく,再建術式では,Billroth II,Roux-en-Y,Billroth Iの順で起こりにくいことが判明している.さらに,胃空腸吻合の経路は前結腸経路が後結腸経路よりも起こりにくく,Billroth II再建ではBraun吻合を追加した方が起こりにくいことが報告されている.ただし,どの方法を行っても,一定の確率で起こりえるので,個々の症例に応じた対応が重要である.

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© 2019 日本膵臓学会
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