2019 年 34 巻 4 号 p. 166-171
膵性糖尿病は膵β細胞からのインスリン分泌量の絶対的な低下という点では,2型糖尿病と異なる病態であり,膵全摘術後では1型糖尿病と類似した病態になる.しかし,膵切除術後は手術侵襲や膵外分泌機能低下などにより低栄養状態に陥りやすく,さらに膵α細胞からのグルカゴン分泌も低下あるいは枯渇しているため,通常の糖尿病よりも血糖値の変動が大きく,インスリン補充により低血糖に陥りやすい特徴がある.こうした病態により膵性糖尿病の血糖管理には難渋することが多いとされている.
特に膵全摘術後は,現在の管理においても血糖値が大きく変動しやすいことが多く,血糖調整の難度の高さが示されている.膵性糖尿病の病態の理解を深め,適切な術後管理を行う必要がある.