膵臓
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症例報告
膵嚢胞が破綻し膵液瘻をきたした自己免疫性膵炎の1例
宮島 真治竹田 紹泰安田 宗司星 智子星 晋田中 裕一高谷 晴夫梶村 幸三
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2019 年 34 巻 6 号 p. 293-301

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抄録

症例は70歳,男性.良性胆管狭窄にて肝左葉切除の既往あり.上腹部中心の腹痛で受診,膵酵素上昇,CT,MRIで膵周囲に嚢胞を伴うびまん性膵腫大を認め急性膵炎の診断で入院.一旦軽快退院するも下痢,腹部不快が続き1ヶ月後膵炎再燃にて再入院となる.保存的加療にても2週間後著明な腹水増加,また大動脈,門脈内血栓形成も認め抗血栓療法を開始した.腹水は血性でアミラーゼ高値,ERCPで主膵管の不整狭細像,膵尾部嚢胞から腹腔内への造影剤漏出が確認され膵液瘻と診断された.EUS-FNAにて腫瘍性病変は認めず,膵びまん性腫大,高IgG4血症より1型自己免疫性膵炎確診例としてステロイド加療開始,同時に膵液瘻に対し膵管ステント留置を行った.以後腹水,膵腫大,高IgG4血症とも改善傾向を認めステロイド減量,4ヶ月後膵液瘻の消失を確認し膵管ステントを抜去した.自己免疫性膵炎に合併した膵嚢胞の破綻により膵液瘻を来した稀な症例と考えられた.

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© 2019 日本膵臓学会
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