膵臓
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症例報告
多発性膵腫瘤として認められた膵神経内分泌腫瘍と自己免疫性膵炎の1切除例
小池 直人白石 匡齋藤 将喜大島 祐二武内 俊章有田 誠司笹井 大督河上 牧夫
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2019 年 34 巻 6 号 p. 302-311

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抄録

症例は71歳女性.腹部US検査で膵頭部に14mmの低エコーの腫瘤像が認められた.超音波内視鏡では膵頭部病変の他,膵尾部に膵頭部と同様なエコー所見を呈する2つの腫瘤(13.4・17.4mm)がみられた.膵頭部・膵尾部病変に対し超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(endoscopic ultrasonography-guided fine needle aspiration:EUS-FNA)を施行したところ,膵尾部病変から膵神経内分泌腫瘍(pancreatic neuroendocrine tumor:pNET)を疑う所見が認められたため,膵頭部腫瘍核出術及び尾側膵切除術,リンパ節郭清術を施行した.手術標本の病理組織検査では膵頭部病変の1つはpNETと診断された.しかし,膵尾部病変は著明なIgG4陽性形質細胞浸潤を伴う線維化の強い炎症性腫瘤で自己免疫性膵炎と診断された.これ以外に,摘出された膵尾部には病理組織検査でのみ確認できる2mm程度の微小なpNETの組織が2箇所認められた.術後経過は良好で,4年間無再発で外来通院中である.

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© 2019 日本膵臓学会
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